【カターレ富山】H 藤枝MYFC戦を振り返る

あまりにも手痛い敗戦で書きたいことが山程あるから、落ち着けるための記事。

良かったこと

攻撃の狙いが明確で、戦術性があった

小田切監督の時は攻撃パターンが一つしかなく(後方からのビルドアップ)相手に合わせた攻め方は特に見えなかったと思う。

今日はディフェンスラインを高めに設定している相手に合わせて、裏パスを多用する柔軟さが見られた。
し、そこからチャンスも何度か生まれてた。

一つ飛ばしのパスが増えてきた

これは主に、椎名選手の印象が強い。
以前までは後方でのビルドアップ時、各駅停車でのパス回しをするもんだから相手選手の走力が追いついていて全然揺さぶれていなかった。

ただ、安達監督に変わってからは一つ飛ばしのパスが増えたと思う。
これは意識付けである程度解決できる部分なので、積極的に変えていってほしい。
(ただ、その分ミスのリスクも上がるので気をつけたい所)

悪かったこと

ハイライトシーン、実はどれもそこまで得点に期待出来ない

今回の試合、個人的に得点に繋がりそう!と思えるシーンは5回あった。
  • 8分、高橋選手右サイドでの抜け出し
  • 18分、高橋選手が持ち出してフィニッシュ
  • 30分、伊藤選手が抜け出してGKを躱したやつ
  • 37分の伊藤選手がこぼれ球からシュートを撃ったシーンも、わんちゃん入っててほしかったくらいのシーン
  • 後半終了間際のCKからの一連の流れ
(改めて見ると、後半の印象がなさ過ぎて悲しい)

ただ、どれも正直「決まらなかったのも仕方ないかな・・」と思える状態ではあった。

それぞれに対するざっくりとした所感

8分、高橋選手右サイドでの抜け出し

合わせられる選手は松田選手のみ・・なのだが、PA手前あたりで転んでしまっていた。
結果、中は相手DFが4人だけで合わせる選手がおらず、サイドのカバーもなし。
相手のGKがニアを空けてたこともあり、逆足でワンチャンゴールを狙うしかなかった。

18分、高橋選手が持ち出してフィニッシュ

相手ゴールまで40m付近からずっと、松田選手が裏のスペースへパスを要求していた。
ただ、オフサイドかかなり際どい位置取りだったと思う。
また、手前の相手選手の位置取りが良く、松田選手のスピード感を考えると外に逃げるようなパスくらいしか通らなかった気もする。

むしろ、後から入ってきた吉平選手の裏のほうがワンチャンあったか・・?
(とはいえコースがないので「ループ気味のパスに左足ダイレクトで合わせる」とかになる)

抜け出せたときの期待感から考えるとちょっと物足りない結果になったのは否めないが、より良い択も思いつけなかった。

30分、伊藤選手が抜け出してGKを躱したやつ

できれば決めてほしかったけど、実は見た目ほど簡単じゃなかったプレー。
相手を背負ったまま走り続けた上で、GKを躱すため外にワンタッチ入れている。

最終的に相手はコースを切る方向に抜けたので、相手の脚が届かない位置に、体が流れつつも逆足で決め込まないといけない。

何度も書くように決めてほしかったのは当然だけど、そこまで簡単ではなかったと思う。

37分の伊藤選手がこぼれ球からシュートを撃ったシーン

ここまでのプレーの中では、実は一番(プレイヤーの特性的なものも踏まえた)得点期待値が高かったんじゃないかと思う。
逆足でもないし体が変に流れていることもない。
一人背負ってはいるけど体は入れられてたので、単純に相手のGKやプレッシャーで体勢が崩れて枠に飛ばせなかった感じ。

高橋選手、伊藤選手がいずれもこの形で点を決めるタイプではない

タイプではなかろうが、点を取ってほしいというのは当然として。

二人ともテクニック系の選手。
伊藤選手は外からカットインしてクロスを上げるようなプレーを主にしてる(前にロングシュート決めたこともあるけど)し、高橋選手も巧みなボールキープからの起点づくりや、チームが前に出られるようなオフザボールの動きが特徴の選手。

ただ、今回のチャンスは「長い距離を走ったり相手を背負いつつ、逆足でフィニッシュ」という形が多かった。
出来てほしいとは思うけど、得意ではない形でのプレーになってしまったとは思う。
メッシやエムバペにゴリゴリのポストプレーやヘディングでの得点を期待しないような感じ。
(例に挙げた二選手なら決められそうだけど)

フィニッシャーがいない

フィニッシャー不足である。
まあ今季の得点王が出ちゃったので、当然っちゃ当然なんだけど。

これは戦術的な問題が半分と、選手の個性の問題が半分だと思う。

カターレ富山、守備時は4-4-2ないし4-3-3のような形で守るんだけど、攻撃時はワントップの片方が降りるなりサイドに流れるなりして、4-5-1のような形になる。

そうなると、ものすごく極端な話シュートを撃てるような位置にいるのが「残ったワントップ」「逆サイドのWG」の2人だけになる。
のだけど、カターレは後方から丁寧にビルドアップ(監督交代で多少スピードが増したものの、カウンターと言うほどではない)するので、相手の守備はガッチリ固まり、下手したら2-4くらいの人数になる。

今のカターレで得点が期待できる攻撃パターンとは?

ということで、戦術的な問題を考える。

ロングカウンター

うまく決まれば相手の守備陣形が整う前に攻め込めるので、狙っていきたいところ・・。
なんだけども、前で受けられる選手がいない

ポストプレイヤーがいないため収められる期待値があまり高くないし、裏抜けできる選手もいない。

今瀬選手やボランチ陣など、蹴れる選手は何人かいるんだけどなぁ・・。

ショートカウンター

安達監督に変わってから、ボール奪取位置が少しだけ高くなった。
正直これが一番可能性があると思う。

カターレ富山、たまにやたらテクニカルでおしゃれなパス回しが炸裂してスルスルと前線まで抜け出ることがあります。
ハーフラインあたりでボールを奪って、そのままフィニッシュまで攻め切るような形。
これが再現できれば・・!

ただ、どう考えても簡単にできるものではないので「決まれば一番可能性がある」というだけで決まりにくいのも事実。

ちなみに、磐田戦のときに出来たような「GK・CB間でのパスを奪ってそのまま決める」形はなかなかに難しそう。

今のカターレの守備、そこまでアグレッシブに前線から守備はしません。
厳密に言えばGKやCBへのプレスはしてるんだけど、相手のサイドがスカスカで逃げ道が残ってるので奪い切るのはかなり厳しいです。

サイドアタック

今目指している形はおそらくこれ。
サイドの選手2人と合わせてボランチやトップの選手が流れて、計3人で攻め込む形。

実際成功率もまちまちで、ある程度クロスを上げられてはいるんだけど・・。
上に書いた通り合わせられる選手がいない。

せめてクロスの精度をもうちょっと上げたいところではあるんだけど、いかんせん成功体験がないのもあってそう簡単に解決しなさそう。

実際の試合で言えばもう少し合わせる選手がいるんだけど、高さのある選手がいない割にファーにばかり人がいて、低いクロスが届きにくいのも気になる点。

合わせる選手のポジション取りをもうちょっと変えたほうが良いんじゃないかな?と個人的には思っています。

ティキ・タカ

サッカー知識がにわかすぎて、攻撃バリエーションとしてこの4つでいいのか不安になってきた。

細かくショートパスを繋いで、ボール保持率を高く保ちつつ前へ進んでいく戦術のこと。
片足突っ込んでいる気はする。

ただ、この戦術はオフザボールの動きに長けた選手が多く、なおかつトラップやバスの精度に関しても高くないと単純に難しすぎると思う。

ロマンのある戦術だとは思うんだけど・・。
今これを目指している余裕はないんじゃないかな・・。

選手バリエーションの薄さ

上の通りいろんな攻撃パターンを考えたときに、必ずどこかが欠けてしまう。

今回の試合の場合、せいぜい浦選手がスタメンのほうが良かったのでは?というくらいではある。
その浦選手も、ここまでのプレーだとフィニッシュワークの精度が今ひとつというイメージがあるので、なんとかチャンスを掴んで払拭してほしい。

顕著なのはやっぱFW陣で、裏抜けやポストプレー等、得点に直結しやすいイメージがある選手が誰もいない
去年ならマテウス選手や松本選手がいたけど今年はおらず、今季唯一それで点を取ってた碓井選手も移籍してしまった。

古川選手は非常に申し訳ないんだけども、ほぼプレーを見れてないのであんまり把握出来てない。そういうのが得意な選手であってほしい。

こうなると、相手の戦術をどれだけ分析しても意味がない。
相手がほのおタイプのポケモン中心で来ることが分かっても、弱点をつけるポケモンが全くいないような感じ。

そう考えると、小田切監督も攻撃パターンを増やさなかったわけではなく、一つに絞ってより通用するような形を目指すしかなかったのかもしれない。

守備の軽さが目立つ

相手のチャンスシーンは大きく分けて二種類あって「ずっと持たれっぱなしのままじっくり攻め込まれて、そのままやられるパターン」と「軽い守備でそのまま抜け出されるパターン」
がある。

今日は特に「軽い守備でそのまま抜け出されるパターン」が目立ってたと思う。
失点シーンや13分のシーンがわかりやすいんだけど、相手の勢いを殺す守備ではなく奪いきろうとする守備をした結果ワンタッチで抜かれてしまい、そのままどんどん数的不利になっていくようなシーンがしばしばある。

守備の意識付けが悪いのか、個々の選手のスキルの問題かわからないけども・・。
これは戦術でどうにかできる部分ではないので、なんとか改善してほしい。

ちなみに、じっくり攻め込まれてそのままやられるパターンは割とどうしようもないかもしれない。
頑張って凌いで・・!

正直、限界が近いのでは・・?

安達監督に変わった結果、前まで出来ていた守備ができなくなっているとは思う。
監督交代前は正直リトリートしすぎていたとは思うけど、少なくとも戻りは早かったし、もう少し時間を掛けさせるプレーは出来てた。

が、出来なくなった理由が戦術という気はしない。
CBやボランチ陣がPAまで入るようなゴン詰めサッカーをさせているわけでもないんだから。

「じゃあなんで?」となると、多分脳のリソース的な問題じゃないかな?と思った。
これまでと違うスタイルの攻撃をしようと思うと、どうしても今まで以上に頭を使う。
それに慣れてないプレースタイルや考え方をすると、負担も大きくなって一瞬の判断にミスが出る。
しかも、今は「勝ちも遠い」「得点も入らない」でなおさら余裕がないと思う。

とはいえ、小田切監督の戦い方のままなら勝てたかと言われると、それも厳しかったと思う。
1つの攻撃パターンだけで相手を攻めきり、勝ちきれるほどうちの選手たちは尖ってない。
(通用しそうだったのは碓井選手くらいだと思う)
けども、多様な攻撃パターンを扱えるほど柔軟に戦えないとなると、そりゃもう厳しい・・。

総括

現状を打破することができるのは戦術ではなく、新たな選手の獲得しかないと思う。

安達監督としては、相手の戦術の隙をつくような攻め方を提示して得点を狙おうとはしていたわけだし、相手に持たれっぱなしの時間も今回はそこまでなかったと思う。

確かにピンチのシーンはあるし、今日も追加で2失点くらいあってもおかしくはなかったけど・・。
ミドルシュートでズドン!失点!みたいなものは今までもあったし、上に書いたような軽い守備を躱されての数的不利は7バックとかにしないと対策しようがない。

今いる選手・コーチングスタッフのうち誰かに大きく問題があるわけではなく、「少し力が足りない」「少し合わない」が積み重なった結果、どうしようもない壁ができている気がします。

ということで、強化部には早急に選手の補強をしてほしい。
碓井選手が抜けた穴が大きすぎる。
残留がまだ間に合ううちにお願いします・・。

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