【カターレ富山】A いわき戦を振り返る
はじめに
負けてしまった・・。
厳しい戦い続きとはいえ、勝ち点は1でも積んでおきたいところですが、現実は厳しい。
見返すのもしんどいですが、振り返ってみようと思います。
守備面
まず前提として、個人的な体感としては「そこまで大きく小田切監督政権のころと守備戦術は変わっていない」と思います。
個人的なミスや競り負けが増えているとは思いますが・・。
疲労や勝ちがないことによるパフォーマンス低下、攻撃時間が短いことなど別の要因によるものではないかなと。
寄せが甘い
これは能力的な問題か、それとも指示があるのかわかりませんが、寄せが甘いです。
相手に前を向かせない守備は全く出来ておらず、体を寄せずに正対するような守備。
下手に寄せてもそのまま入れ替わられたり抜け出されるリスクがあるのと、こうすることで相手の攻撃を遅延出来るので、これ自体は悪いことではないのですが・・。
相手のより前線の選手がフリー、となると話が変わります。
ゾーンディフェンスと合っていない
おそらく現在のカターレ富山は人ではなくゾーンを見る守備を採っている・・と思うのですが、上の寄せない守備と悪い相乗効果が生まれています。
寄せない以上相手は余裕を持って前を見れますし、相手のパスコースもあまり限定出来ません。
そうなったときに、他の守備の選手は目の前の半端な位置にいる相手を「自分が見るべき」なのか「任せても良い」か自己判断が必要になってしまい、守備時に考えることが増えます。
結果危ない位置にいるプレイヤーにフリーの状態でパスが渡ってしまい、急いでプレスをかけたところをうまく躱される・・というシーンをよく目にします。
守備の整理が足りていないのでは?
解説の方もしばしば言っていましたが「奪いどころが定まっていない」感じがします。
例えば「相手をサイドに追いやり、複数人でコースを塞いで奪い切る」「サイドからのクロスを上げさせるものの、プレッシャーをかけて精度を落とさせ、中でしっかり跳ね返す」「ハイプレスをかけて、相手のロングパスの精度を落として奪う」など様々な形があります。
が、カターレの守備は「相手のミスを待つ」がかなり強く、ここで奪い切るぞ!がイマイチ見えません。
「あ、いけるかも!」「ここはやばい!」みたいな選手の感覚で数をかけたりプレッシャーを掛けた結果、間に合わなかったり抜け出されてしまいピンチになるシーンが多い印象です。
また、そうなった後の連動も「近いから行く!」で止まっているような感じがします。
その割に奪い切るほど強く当たらないため、団子になって奪い切る前に、空いた選手やスペースにボールを出されているイメージ。
例
例として、開始直後のプレーを。
【00:17】寄せが甘いのでしっかり前へ精度の良いパスを蹴られてしまっています。
(ただ、頑張って寄せたうえでフィジカル負けしてるようにも見える。いわきさん強い・・。)
このときパスコースを潰せていたらカット出来ますが、前述の通りゾーンを広く見ているので相手選手はフリーになっています。
(このシーンはどちらが保持しているとも言えなかったため、相手選手がフリーなのも致し方ないところではある)
このあとパス&ゴーで抜け出されますが、まあこれもしょうがない気もする。
お相手が上手いです。
【00:25】二人がかりで寄った割に体を当てていないので、ほぼフリーでボールを持てています。コースの限定はある程度出来ていたと思いますが、結果として空いている穴を通せる余裕を持たれてしまっています。
また、本来左CBの位置を見ていた神山選手がサイドの守備に向かったため、ペナルティエリア角の7番の選手がフリーでしたが、ここは末木選手がうまく穴を埋めてくれていました。
【00:30】
サイドでもちゃもちゃした後のクリアを中央方向にしましたが、そこにいるはずの末木選手は神山選手の穴を埋めるために引いていたため、相手の8番の選手がフリーでいます。
一応末木選手の穴を埋められるメンバーとしてはFW陣なのですが、そこは下がっていない模様。
【00:36】ここは竹内選手しっかり体を当てられてほしかった・・。
単純に相手のクロスが上手かったのと、守備時のポジショニングが良くなかったのかなと思います。
このワンプレーを通して改めて、課題が3つあります。
- 寄せが甘く、相手がパスを出すのに苦心するシーンがない
- これは個人能力の問題かチーム戦術か微妙なところ
- どちらにせよ、フリーで蹴らせてる以上J2レベルではなかなかミスしてくれない
- 選手が他ポジションに流れて守備範囲に穴が空いた時の連動が、おそらく選手個人レベルでしか行われていない
- 「相手が攻撃しているサイド側のPA外」なんてめちゃくちゃ危険なエリアでフリーにしてしまうのは、流石に先述の整理不足な気がする
- もしくは、決まり事が「CBがサイドに流れたら → ボランチが落ちる」で止まっている?
- クリアが甘い
- これは前からずっと思っているのですが「繋ごうとするクリア」が良くない結果を招くパターンがめちゃくちゃ多いです
- 半端な位置で相手に拾われる、1トップvs相手の守備3人みたいになってすぐ拾われる、etc...
- 相手の裏のスペースまで飛ぶような玉を全力で蹴り飛ばしてしまう方が、一度押し返せて良さそうだけど蹴るの難しいのかな(J1とかでも半端なクリアはよく見かけるし)
- そもそもカウンターアタックをあまり出来ていないので、無理して繋ぐ必要もない気がする
- 相手が密集していて姿勢も厳しく、自由に蹴られるシーンではなかったと思いますが「遠慮なく外に出して良い」というような決まり事がある方が選手の判断コストが減って良いと思う
- ただ、相手がいわきと考えるとロングスローやCKも怖いので、むしろ「外に出すな」という指示があってもおかしくない
- もしくは決まり事がある上で、個人判断で蹴っちゃったのかもしれない
誰が直せるのか?
正直どこまでが戦術でどこまでが個人判断でどこまでが能力由来かわからないので、あまり適当な事は言えませんが・・。
守備時の連動についてはもうちょっとコーチングスタッフで整備し、選手に浸透させないとまずいと思います。
選手の判断でやるには限界があるので。
カターレの攻撃時には相手がいっぱいいるのに、こっちの守備時にはやたらスカスカに見えることがよくありますが、それは整理ができていないため相手が自由にプレー出来てしまっているからだと思います。
ただ、これが安達さんが全面的に悪いのかと言われるとどうなんだろう。
というか、コーチングスタッフ内での役割分担ってどうなっとるん?
攻撃面
前提
練習してすぐに身につくものと身につかないものがあります。
当然人によって細かい部分はばらつきがあると思いますが、数年間プロとしてトレーニングをしてきた選手ならこんなところだと思います。
身につくのが
【早い】意識付け > 戦術理解 > ポジショニング > テクニック > フィジカル > スピード【遅い】
意識付け
安達監督の就任直後、インタビューにて「意識が変わるだけでパスのつなぎやすさが変わった」というようなコメントがありました。
たしか選手同士の距離感の意識付けを変えたのだったと思いますが、このように意識付けはかなり手っ取り早く改善出来ます。
ただ、これは意識付け程度なので、具体的な戦術とまではいきません。
パスの精度は上がったかもしれませんが、それだけで相手を出し抜けるわけではないですし。
戦術理解
「近距離でパス交換をし合うことでスペースに相手が密集してくるので、その分逆サイドが広く使えるようになるな・・」のような、一歩進んだ部分が戦術理解だと思います。
これは簡単な例なので、本当はもっといろいろ複雑です。
が、とはいえ理解力次第では素早く習熟出来る部分。
ポジショニング
ポジショニングは更に難しいです。
戦術を理解したうえで「それなら自分はどこにいるとよいか」を素早く的確に判断し、立ち位置を変えるのがポジショニングです。
上記の戦術理解に重ねて、敵味方の位置や距離感を把握し、3次元的に考えなければなりません。
テクニック、フィジカル、スピード
この3つに関しては、正直才能が大きく影響してますよね。
また、日々の積み重ねが実ることもあるとは思いますが、すぐに効果が出せるものではないと思います。
総括
なにが言いたいかというと、「選手のタイプはそう簡単に変わらないよね」って話です。
スピードのない選手がスピードが要求されるプレーが出来るようにはそうそうなりませんし、フィジカルが弱い選手がムキムキの体幹激強になるのも時間がかかります。
なので、今のように素早く結果がほしい場合は「今いる選手がすぐ出来るようになりそうな範囲の戦術を選ぶ」必要があります。
今のカターレは消極的選択の末、ポゼッションをしている
上を踏まえて。
今のカターレ富山は安達監督の意思のもと、ポゼッションサッカーをしています。
実際保持率が上がりましたし、コメントを見ていても「ボールを大事にする」という内容が散見されています。
ただ、これが「やりたいからやっている」わけではないんじゃないかなと思っています。
以前にも書いた通り、カターレ富山が現状取れる攻撃方法が他にないだけでは?という話です。
実はそこそこシンプルに繋ぐカウンターもしていたが、点は入らなかった
タイトルの通り、改めて試合を見るとロングカウンターを狙うプレーもそこそこありました。
が、どれも得点には結びついていません。
理由はいくつかあって
- カウンターの受け手がいない
- 足の早い選手がおらず、抜け出しきれない
- もしサイドで抜け出せても、中の選手が圧倒的に足りていない
- 理由はおそらく「押し込まれすぎており、上がるのに時間がかかる」「逆カウンターを警戒して、上がりきれない」「中盤の選手のスピードが相手に負けている」など
- 精度が低い
- スルーパスの精度と合わせて、クロスの精度、シュートの精度も低い
- ものすごく雑な計算にはなりますが、「スルーパスが5本に1本」「クロスが3本に1本」「シュートが5本に1本」決まるとしたら、ゴールに結びつく確率は1/75です
- カウンターに失敗した後、結局ポゼッションが必要になる
- 終わり方は様々です。「サイドで突破できず押し返される」「クロスを跳ね返される」「シュートが打てなかった」等々・・。
ただ、カウンターに失敗してなお攻撃が続いている場合、結局自分たちでビルドアップする必要があります。
これは、避けては通れない道です。 - これに関しては、改めて相手を自陣に引き込んで、そこからまた押し返す「疑似カウンター」という戦法もあります
- ただ、引き込む過程でそのまま取られることもしばしば。
取られてしまった場合、そのままピンチになります。
丁寧なビルドアップ時のスペースが狭いが、改善自体は可能なはず
カウンターではない形でビルドアップしていく場合、カターレ富山はサイドからの攻撃パターンが多いです。
が、見ていると仲間の動きがいずれも「ボールを受けに寄る」ばかりでどんどんスペースが狭くなります。
これはおそらくですが、上で話にあがった「意識付け」がまだ意識付けレベルで終わっているのかなと思っています。
確か「距離感を短く持つことでパスを繋ぎやすくなった」という話だったので、シンプルに寄る段階で止まっている・・?
2m先のゴミ箱にぽいっと投げ捨てるのと10m先のゴミ箱に投げ捨てるのであれば、2m先のゴミ箱に投げ捨てるほうが簡単ですし、より精度が高くなります。
これも同じ理屈で、近いほうがパスは繋ぎやすいのですが・・。
仲間が寄ってきたらその分敵も寄ってきますし、狭くなる分コースも塞がります。
ドリブルするにも、相手がより素早くカバー出来るようになります。
そこから先の「そうするとスペースが狭くなるけど、どうやって前に攻め込もう?」の答えを持っていない感じがします。
「一つ飛ばした先の仲間がフリーになっているので、そこにパスを出す」も手ですし、「団子になった分、空いた裏のスペースを狙う」もアリです。
「受けた選手が素早く動くことでパスコースを空けたり、そのまま走り出した先で受ける」も出来ます。
メンバーによって出来ることと出来ない事はあると思いますが、今はその抜け出し方を各々が模索しているところなのかなと思っています。
1枚剥がすプレーがあまり見られないのが辛い
相手と数的同数、もしくは不利局面でそれをひっくり返すのが「相手を剥がす」プレーです。
ドリブルで切り抜けてもよいですし、単純に抜け出す動きでぶっちぎっても良いです。
ただ、選手の個人能力的な面もあってか、そういったプレーはほとんど見られませんでした。
こればっかりは戦術でどうにか出来るものでもないので、誰かが抜け出てくれることに期待ですね・・。
試合ごとの攻撃戦術選び自体は間違ってないと思う
前回の藤枝戦は、いつにもまして裏のスペースを突くプレーが多かったです。
その甲斐あって前半はかなりチャンスを生み出せていましたし、得点こそなかったものの、他により良い択があったとも思いません。
また、この試合に関してはよりパスワークが重視されていた気がしますが、それも仕方ないかなと思います。
vsいわきという観点で見たときに、運動量や球際、スピードといったフィジカル面で負けています。
そうなると、勝ち目を見いだせるのはパスワークの崩しになります。
ただし、サッカーはじゃんけんではないので「必ず点が取れる戦術」はありません。
「打てる手の中で一番通りそうなのがポゼッション」というだけで、「ポゼッションなら点が取れる」わけではないのです。
ものすごく辛いですが、どうあがいても良くて引き分け程度だったんじゃないかなと思います。
なぜそうなるかといえば、選手タイプの不足です。
得点につながるシナジーがありません。
もし無限の選択肢があるなら「いわきを上回る走力で裏に抜けられる選手(なおかつ決められる)」がいれば楽なのですが、いません。
浦選手であれば抜け出すことは出来るかもしれませんが、クロスを上げたときに中で合わせられる人間がいません。
これは「走力的に間に合わないんじゃないか?」という理由と、あまり「抜け出したサイドからのクロスに合わせてゴールを決められていない」という決定力的な問題があります。
(とはいえ、やるだけやってみるのもアリだとは思いますが)
選手が補強されるまでは、耐え忍ぶしかないんじゃないかなと常々思っています。
おわりに
色々と書きましたが、正直言って大ピンチです。
上の通り頑張れば多少、本当に多少は改善の余地があると思いますが、残り時間を考えると伸びしろが足りません。
この一連のツイートの通り、カターレ富山はハーフシーズン7位レベルで勝ち点を積み上げて、ようやくギリギリ残留圏に届くところにいます。
19位で折り返したチームが7位になるためには足りない。
これはおおよそ、残りのハーフシーズンで7位6位相当の勝ち方をしないといけないってことになります
— 葱茶 (@Scallion_Tea) June 22, 2025
なんなら移籍選手が入った後からが本番と考えると、それ以上に厳しい
安達監督としてもそれを見越して、目先の1勝ではなくて後の3勝を取れる戦術をしてるんじゃないかな・・?#カターレ富山
さすがに監督も足りない部分や補強しようとしている選手像はわかっているはずなので、それを見越して今はパーツが足りないまま走っている・・のだと思いたい。
僕の考えが全部間違っていて、来週から怒涛の連勝が続いてくれたらどれだけ良いかと本気で思っています。
頑張れ、カターレ富山。
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